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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第9章 社長息子は眉目秀麗

「くすくす……少し、ね。
僕も飲もうかな? どんな種類のお酒がいい?」
「日本酒じゃないんですか?」
「日本家屋だからと言って、日本酒だけとは限らないよ。大概の物は揃えているはずだが……」

どうしよう。既に飲んでいるからビールは重いし、居酒屋のようにサワーや酎ハイとはいかない。後はなにかあったかな?

「……ワイン、飲める?」
「はい、飲めます」
「一人だと開ける気にならなくてね、美味しいワインがあるから一緒に飲もう」
「はい!」

お手伝いさんに頼んで持ってきて貰ったのは、綺麗な色のロゼワイン。普通はもっとピンクが強いと思うのに、凄く淡いピンク色なの。

「好きなんだけど、一人では飲みきれなくて、いつも眠ったまま。こんな時くらいしか飲める機会がないのが痛いね」
「ワイン派なんですね」
「付き合いではなんでも飲むが、僕個人ではワインや日本酒かな? このワインは甘みが強いのに、飲み口がいいから気に入っている」

差し出されたのは、細かくカットされた桐子のグラス。ワイングラスではなく、普通に使うコップより少し小さめで、ぐい飲みよりは大きめ。こんなところは純和風だなぁーって思う。

「では飲みなおしということで……」
「助けて頂きありがとうございます」
「……間に合ってよかった」
「……え?」
「さあ、飲んでみて」
「は、はい」

促されて一口飲んでみた。
口の中に広がる葡萄の甘さと、ロゼのせいかスッと喉を通ってゆく飲み口。……これ凄く美味しい!
でも飲む前に、不思議なことを言わなかった?

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