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喪服奴隷・七菜
第12章 剃毛の契り
七菜の妹・香織の、工藤グループ本社への正式入社が決まった。
入社手続きに来た香織と、社長、七菜が本社の応接室で話し合っている。
『工藤社長、このたびは採用していただき、誠にありがとうございました』
香織が直立のまま、深々とお辞儀をする。
七菜はその隣にいて、渋々と軽く頭を下げる。
「いやいや、こちらこそ有望な新戦力が加わって頼もしい限りですよ。
まぁまぁお二人ともお座りください」
『はい!失礼します』
二人は省吾の向かいのソファーに腰を掛ける。
「隆の葬儀の時には香織さんに手伝ってもらってホントに助かったよ。
そうだろ、七菜?」
七菜は呼び捨てにされてビクッとする。
香織に二人の関係をヘンに勘ぐられないか、気が気ではない。

『社長、社長の部下として妹がお役にたつならなによりです』
堅苦しい言葉遣いをすることで、なんとかごまかそうとする。
「いやね、葬儀の時の香織さんの甲斐甲斐しい働きぶりを見ていたら、
うちの会社で働いてくれたらどれだけ助かるかと、本気で思ったんだよ。
それに今度、中嶋水産との代理店契約が決まって、新規事業をはじめたもんだから
まとまった人材が必要になっただろ。香織さんさえいてくれたら
そちらも安心して任せられる。香織さん、頼んだよ」
『はい、微力ながら全力で頑張らせていただきます』
もともと活発で、人見知りしない香織は、対人受けもいいようで
ハキハキしたいい方は、すべての人に好感をもたれるようだ。
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