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喪服奴隷・七菜
第13章 受精奴隷
七菜がふと目を覚ます。
横では省吾が寝息を立てながら、七菜に腕枕をしている。
七菜はそっと頭をあげると、省吾を起こさないようにベッドを抜ける。
外は陽が西に沈みはじめ、夜の気配がすぐそこに迫っている。
抜き足差し足で応接室に入り、自分のバッグを探す。
バッグはソファーの裏側に隠されていた。
バッグから薬局の袋を取り出すと、そこから1錠摘まんで手に取る。
飲み込もうとした瞬間、背筋が寒くなり後ろを振り返った。
「なにを隠れてコソコソしている、その薬はなんだ?」
慌てて薬を飲みこもうとするが、その手首を掴まれて錠剤をもぎ取られてしまう。
さらに薬局の処方箋の袋を奪い取られ、処方を知られることとなる。
「工藤 七菜 様 処方:経口避妊薬 1日1錠」
省吾の顔がみるみる鬼の形相に変わっていく。「どういうことだ!」
七菜は顔が青ざめて、言葉を失っている。
「いままで中出ししてきたのに、いっこうに妊娠の兆候が表れないと思ったら
こういうことか。今まで俺を騙していたんだな」

騙された と言われれば心外である。好きでもない男に求められれば
当然の予防行為、女としては当然の自衛策である。
七菜は自分の気持ちを素直に打ち明ける。
『仮に子供ができたとしたら、父親のいない子になります。
生涯に渡って、その子は負い目を感じ続けるかもしれません。
そう思ったら不憫で不憫で、私は子どもを作らない決心をしたんです』
省吾はムッとして
「子供ができたら、いくらでも認知してやる。それどころか
たったいまお前と婚姻届を出したっていいんだ。前々からそう言っているだろう」
『まだ隆の1周忌も済んでいないのですよ』
「また世間体ってやつか?」
『そうじゃありません、私はあなたの奴隷になりました。
しかし、あなたと結婚する気はさらさらありません。黙っていたことは謝ります。
でも私は一生涯、隆さんを愛し続けていたいんです』

省吾はムクムクと怒りがこみ上げてくるのを感じた。
「俺を騙していたことには変わりがない。俺の怒りはどこにぶつけたらいいんだ?
お前の身体か!わかった、骨の髄まで味あわせてやる」
男の身勝手といえばそれまでだが、単純な男ほど反動が大きくなる。
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