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喪服奴隷・七菜
第15章 身代わり受難
「香織君、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。
普通の接待だと思ってくれればいい。ただ中嶋社長はお酒がお好きだから
隣に座ってお酌してくれないか?」
緊張を指摘されて思わず苦笑いする香織だが
『任せてください、私、これでも姉に比べたらけっこうお酒は強いほうなんです。
中嶋社長にドンドンお酌して、こっちの言いなりになってもらいますわ』
「それは頼もしい、ぜひともわが社に有利な条件を引き出してくれ。
ところで・・・」
『はい、なんでしょう?』
「こういった接待の席の経験はあるのかな?」
『それが・・・学生時代のコンパとか、会社の打ち上げならあるんですが
接待って初めてなんですよ。あーー緊張してきた!』

「そんなに固くなるな。相手の話に頷いていれば時間が解決してくれる。
まぁひとつだけアドバイスをするとすれば・・・うーーん」
『えっ!ぜひ教えてください』
「そうだなぁ、中嶋社長は昔気質の人だから、お酌をすると返杯してくるんだよな」
『返杯って?』
「つまり、お酌をするとその盃を飲み干して、お酌をした人に渡す。
お客様が口につけたものだからと言って、拒んだら即NG。
盃を捧げ持つようにする。そこに酒を注いでくれるわけさ。
もともとはお客様に帰さないといけない盃だから
ご返杯と言われたらすぐに飲み干してお盃を返す。
これだけを失礼のないようにすれば大丈夫かな」
『メモ、メモ。社長、貴重なアドバイス、ありがとうございます』

実はこれも中嶋と打ち合わせた仕掛けであった。
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