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私を抱いて…離さないで
第2章 人と金と…
* * *
「……」
そうだ。
……思い出した。
あの焼き鳥屋で、先輩が頼んだサワーをお冷やだと勘違いして、飲んで。
たった一口。なのに、頭がクラクラして、カウンターに突っ伏して。
立つこともままならないまま、先輩が拾ってくれたタクシーに、一緒に乗って……
「……」
ひとつ思い出すと、芋づる式に次々と記憶が蘇っていく。
タクシー内で、先輩の肩にもたれ掛かった事。優しく手を繋がれた事。一緒に降りて、先輩の部屋に上がった事──
だけど。そこからどんな話になって、どうして体を重ねる事になったのか……解らない。
許した覚えも、ない。
そっと身体を押し返せば、それに気付いた先輩が唇を離す。
「……一緒にスープ、飲もうか」
息が交差する程、近い距離。
先輩の、睫毛の長い瞳。
視線を合わせたまま……指先で、私の前髪をそっと退かす。
「……」
──嫌。
手慣れたような、この擽ったい空気が。
付き合ってる訳でも、援交でもないのに……体を許してしまった事が。
ずっとなりたくないと思っていた、先輩にいつも付いて回る、取り巻きの一人にされたようで。
「……」
そうだ。
……思い出した。
あの焼き鳥屋で、先輩が頼んだサワーをお冷やだと勘違いして、飲んで。
たった一口。なのに、頭がクラクラして、カウンターに突っ伏して。
立つこともままならないまま、先輩が拾ってくれたタクシーに、一緒に乗って……
「……」
ひとつ思い出すと、芋づる式に次々と記憶が蘇っていく。
タクシー内で、先輩の肩にもたれ掛かった事。優しく手を繋がれた事。一緒に降りて、先輩の部屋に上がった事──
だけど。そこからどんな話になって、どうして体を重ねる事になったのか……解らない。
許した覚えも、ない。
そっと身体を押し返せば、それに気付いた先輩が唇を離す。
「……一緒にスープ、飲もうか」
息が交差する程、近い距離。
先輩の、睫毛の長い瞳。
視線を合わせたまま……指先で、私の前髪をそっと退かす。
「……」
──嫌。
手慣れたような、この擽ったい空気が。
付き合ってる訳でも、援交でもないのに……体を許してしまった事が。
ずっとなりたくないと思っていた、先輩にいつも付いて回る、取り巻きの一人にされたようで。