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私を抱いて…離さないで
第2章 人と金と…
窓辺にある観葉植物。
外からの明るい光に照らされ、つるんとした葉の表面が光って見える。
好きでもない人としたのに、一円のお金にもならない。
その事が、一番堪える。
祐輔くんの為に、迷惑な細客から脱したい。それには、稼がなくちゃ……なのに。
ベッドを背にして座り、スプーンで掬ったスープを口に含む。
「……」
──そっか。
祐輔くんもその為に、枕してるんだよね。
そこに感情なんて、きっとない。割り切る為に来る客全てを『金』だと思っているのかもしれない。
……だから、あの時──
「果穂」
ハッとして視線を上げれば、少し困惑した表情の先輩が。
「ぼんやりしてるけど……」
「……」
「もしかして、口に合わなかったとか?」
「……」
……そんな事、ないです。
美味しいですよ。
そう言えれば、いいのに。
何も言えずに目を伏せれば、溜め息をついた先輩の声が、低いトーンに変わる。