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私を抱いて…離さないで
第2章 人と金と…
「……はい、これ」
講義を終えた教室内で、いつものようにノートを纏めていると、突然視界の端に用紙を持った手が現れた。
顔を上げて見れば、案の定、そこには安藤先輩が。
「……」
「休んでた分のコピー」
「………ありがとう、ございます」
戸惑いながら受け取ろうとすれば、スッと意地悪く引っ込められる。
「へぇ。ノート、綺麗に纏めてるんだね」
「……」
私の横に立ち、片手を机に付いた先輩が、上からノートを覗き込む。
ふわりと香る、ミントグリーンの爽やかな匂い。その匂いに包まれ、整った横顔がすぐ近くにあれば、幾ら好きでは無くても……ドキドキ位はする。
でも、本当にそれだけ。
筆を止めたまま微動だにしなければ、先輩の唇がスッと耳元に近付き……
「……今日、家に来れる?」
「──!」
甘い囁き。熱い吐息。
それが耳にふわりと掛かれば、反射的に肩が竦み、驚きと警戒した目を先輩に向ける。