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私を抱いて…離さないで
第1章 初恋の人

……うん。あったね。
私も……居残り組だった。
あの時は皆、理不尽だって……ぶつくさ言いながら帰ってたんだよね。

「で、結局。先生が保管する場所間違えてただけっていう、オチ」

はは、と美麗が笑う。
なるべく場がしらけないように。

……でも、ごめん……
やっぱり、笑えない……

笑えないよ。
……ただ施設の子ってだけで。
同じ人間なのに、下等生物に見られて。
まるで、生きてたらいけないみたいに扱われて……

「……え、あ……えぇ、っ……!?」

私の様子に美麗の表情が崩れ、あたふたと慌てふためく。
その様子に、どうしたのか解らずに目を見開いたままでいれば、目の前にスッと白いハンカチが差し出された。

「………え」

状況が飲み込めなくて、美麗の瞳を見つめたまま、無意識に自身の頬に触れた。
──濡れる指先。

「……あ、」
「何か、ごめんね。変な話聞かせちゃって」
「……」

変な話、なんかじゃない。
──違う。違うよ。祐輔くん……
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