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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ
「……」
唇に残る感触。
俯き、そっと下唇に触れる。
それならどうして、キスなんか──
誰かが見ている訳じゃない。私が誰かに話す筈もない。
目的がそれなら、この行為は無意味な筈。
「……」
先輩が、解らない。
一体何を考えて、私に近付いてきたんだろう。
ゲーム感覚? 利用する為?
それとも、他の意図?
接すればする程、深まっていく謎。違和感。
先輩は、私をどう思ってるんだろう。どうしたいんだろう。
……どうして、私に優しくなんか……
「──!」
スカートのポケットにある、携帯が震える。取り出して画面を見れば、出会い系サイトからの新着。
──そうだ。待ち合わせ。
画面上部にあるデジタル時計。目を移せば、約束の時間をとうに過ぎていた。