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第3章 パパ

シートの背もたれに身を委ね、少し上を向いたまま大きく深呼吸をする。手中に収まり、蒼白く光って存在をアピールする携帯画面。
意を決し、画面を覗く。

〈……はかせさん、ごめんなさい。
予定が狂ってしまって、今日は行けそうにありません〉

二度も断った上に、ドタキャン。
気乗りしない相手だったとはいえ、流石に罪悪感に苛まれる。

ぷっぷっ……
画面の光が消える前に、届く返信。
メッセージをタップすれば、そこに現れた、一行の文字。


《知ってるよ。男と一緒にいるんだろ》


「──！」


ゾクッ……
身体が、震える。
瞬間思い出されたのは……ビール片手に子供をあやしながら散歩をする、サラリーマン。