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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ
* * *
「……ちょっと、いいかな」
講義室に一人残り、ノートを仕上げている私に、菱沼がそう声を掛けた。
教室よりも狭い資料室。
壁の殆ど埋め尽くす本棚。そこにぎっしりと詰まる資料や本。テーブルの上に散乱する、資料やレポートの数々。
遮光カーテンの隙間から夕日が差し込まれ、部屋の一角を茜色に染める。
「……あの出会い系サイトは、石原の差し金か?」
テーブルの資料をファイリングしていると、背後で棚の整理をする菱沼が唐突に尋ねる。
「………え」
「それとも、自分から登録したのかな?」
「……」
作業する手が止まる。
聞かれた事に驚いたのもあるけど……こういうデリケートな事を話すには、立場や性別が違いすぎる。
「金に困って、って所か……」
「──!」
トンッ
直ぐ背後から気配を感じ、振り返ろうとして肩を叩かれる。
「それなら、私に抱かれてみるか……?」
耳元で響かれる声。密着する身体。
テーブルに置かれる、菱沼の左手。その薬指に光る、マリッジリング。
「……一回で五万、出してあげるよ」
「……」
息が、止まる。
……まさか、私を試して……?
「……ちょっと、いいかな」
講義室に一人残り、ノートを仕上げている私に、菱沼がそう声を掛けた。
教室よりも狭い資料室。
壁の殆ど埋め尽くす本棚。そこにぎっしりと詰まる資料や本。テーブルの上に散乱する、資料やレポートの数々。
遮光カーテンの隙間から夕日が差し込まれ、部屋の一角を茜色に染める。
「……あの出会い系サイトは、石原の差し金か?」
テーブルの資料をファイリングしていると、背後で棚の整理をする菱沼が唐突に尋ねる。
「………え」
「それとも、自分から登録したのかな?」
「……」
作業する手が止まる。
聞かれた事に驚いたのもあるけど……こういうデリケートな事を話すには、立場や性別が違いすぎる。
「金に困って、って所か……」
「──!」
トンッ
直ぐ背後から気配を感じ、振り返ろうとして肩を叩かれる。
「それなら、私に抱かれてみるか……?」
耳元で響かれる声。密着する身体。
テーブルに置かれる、菱沼の左手。その薬指に光る、マリッジリング。
「……一回で五万、出してあげるよ」
「……」
息が、止まる。
……まさか、私を試して……?