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私を抱いて…離さないで
第1章 初恋の人

この先を考えれば、学歴はあった方がいい。特に私は、施設で育ったから。
苦労はするかもしれない。けど、大卒を取って就職すれば、ベアの望めない会社でも最初から高い基本給が貰える。
施設出身者だと、馬鹿にされない。
お金で苦労する事もない。
──一人でも、生きていける。
「……」
通帳を、ギュッと握り締める。
……なのに、矛盾してる。
そう思うけれど、祐輔くんの事はやっぱり譲れない。
私は、祐輔くんを支えたい。
力になりたい。
──頂点に上りつめた景色を、見せてあげたい。
そう強く、願ってしまった。
「……お疲れ~」
店のバックヤードに入れば、バイト上がりの男子高校生が、私にタメ語で挨拶をする。既に帰り支度を済ませた彼が出て行けば、それと入れ違いに入ってきたのは、店長だった。
「ああ、川口さん。……悪いんだけど、明日の夜入れる?」
「……え」
バイトが増えれば、それだけ収入は上がる。
「……」
でも、たかが知れてる。
少し増やした所で、祐輔くんに貢げる程の額には達さない。
「………はい」
「良かった。……じゃあ、よろしく頼むよ」
店長が私の肩をポンと叩く。
事務机に置かれたシフト表を広げ、修正する店長の姿をぼんやりと視野に映しながら、足元に広がる虚しさを感じていた。
苦労はするかもしれない。けど、大卒を取って就職すれば、ベアの望めない会社でも最初から高い基本給が貰える。
施設出身者だと、馬鹿にされない。
お金で苦労する事もない。
──一人でも、生きていける。
「……」
通帳を、ギュッと握り締める。
……なのに、矛盾してる。
そう思うけれど、祐輔くんの事はやっぱり譲れない。
私は、祐輔くんを支えたい。
力になりたい。
──頂点に上りつめた景色を、見せてあげたい。
そう強く、願ってしまった。
「……お疲れ~」
店のバックヤードに入れば、バイト上がりの男子高校生が、私にタメ語で挨拶をする。既に帰り支度を済ませた彼が出て行けば、それと入れ違いに入ってきたのは、店長だった。
「ああ、川口さん。……悪いんだけど、明日の夜入れる?」
「……え」
バイトが増えれば、それだけ収入は上がる。
「……」
でも、たかが知れてる。
少し増やした所で、祐輔くんに貢げる程の額には達さない。
「………はい」
「良かった。……じゃあ、よろしく頼むよ」
店長が私の肩をポンと叩く。
事務机に置かれたシフト表を広げ、修正する店長の姿をぼんやりと視野に映しながら、足元に広がる虚しさを感じていた。

