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私を抱いて…離さないで
第1章 初恋の人

陳列された商品をチェックをしながら、時々レジに入る。
24時間営業のディスカウントショップ。その深夜帯は静かで、まばらながらも訪れる客は常連が殆ど。
残業帰りなんだろう、スーツ姿のサラリーマン。三十代位かな。多分、初見さん。高身長で割と整った顔立ちながら、それをマイナスにしてしまう程目が虚ろで、全身から疲労感を漂わせている。
発泡酒、割引シールの貼られた唐揚げパック、いなりと太巻きの助六寿司を買物カゴに入れ、サッとレジへ。
それに気付いた私は、駆け足でレジへと向かった。
「お待たせしました」
「……」
この人は、独身なんだろうか。
さり気なく左手を見れば、薬指にはシルバーリング。
……それじゃあ、単身赴任とか、夫婦関係が冷え切ってるとか……
頭の中で妄想を繰り広げつつ、涼しい顔でレジを打つ。
「……えー、ホテル代別でって、私ちゃんと言ったよぉ?」
突然、大きな女声が店内に響く。
それに反応し、既婚サラリーマンがチラリと横目で見た。つられて私も見れば、すぐそこにいたのは親子ほど年の離れた男女。

