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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ

「──!」

どうして、ここに──


目を見開く私の両手首を取り、眉尻を下げた状態で満面の笑みを浮かべながら、ズイと顔を寄せる。

「……ねぇ、川口さんは、誰指名してるの?」

ウルウルとする大きな双眸。男に媚びるような上目遣い。
私にこういう事をする時は、決まって良かった試しがない。

「私も同席していい? ね、ね……お願い!」
「……」

ここに来るまでは、とても軽やかな気持ちだったのに。よりによって、大山さんと鉢合ってしまうなんて。
でも……ここで無下に断ったら、後で何をされるか解らない。

「ほら、入ろ!」
「……!」

私の意見も聞かず、大山が手を伸ばし、勝手に店のドアを開けてしまった。



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