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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ


腰にバスタオルを巻き、濡れた髪をそのままにした先生が、シャワー室から戻ってくる。
まるで、何事も無かったかのように。いつもの感じで。

身体を起こし、首に掛けたタオルで軽く髪を拭く先生に、視線を向ける。

「君も、シャワー浴びるといい」
「……」

え……
でも、まだ最後までしてない……
掛け布団を引き上げて首元まで覆えば、口角を少し持ち上げた先生が、ベッド端に腰を掛ける。

「……もう、しないよ」
「……」

しない……
先生の言葉を受け、戸惑いながら目を伏せる。
……どうして? 私が拒否したから?
もう、って……今回限りって事……?

悪い思考ばかりが、頭の中をぐるぐると回る。
今までずっと……心と身体を切り離して、上手くやってこれたのに。
どうして、今日に限って……あんな記憶が……

「………いや、です」
「……」
「ちゃんと、して下さい……」

喉奥から、声を絞り出す。
指先から何から……震えているのが自分でもよく解る。
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