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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ
こんな状態で、こんな状況でできる訳ないのに。どうにかして先生を繋ぎ止めようと、愚かな事を言ってしまう。

「………そんなに、気に病まなくていい。今日はもう充分だ」
「……」
「果穂……」

呼ばれて視線を向ければ、吊り上がった眼が穏やかに緩む。

「そっちに行っても、いいか?」
「………はい」

小さくこくんと頷けば、ベッドに上がった先生が私の隣に腰を下ろす。

「……」

ふわっと香る、石鹸の匂い。
それに混じって、仄かに先生の匂いがする。

不意に、重ねられた手。
さっきまで、身体を重ねていたというのに。今は、この繫がりが心地良い。
何だか、落ち着く。
いつの間にか震えも止まり、呼吸も穏やかなものに変わる。

「……」
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