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私を抱いて…離さないで
第1章 初恋の人

もうすぐ日付が変わる。
ガラガラの電車内。独特の臭い。
朝夕混雑時の雑音を全て吸収し、静寂を保つ空間。
ドア付近のシートに座った私は、マッチングアプリや出会い系サイトを検索していた。
検索して出て来る女性の顔写真を見れば、男性に好まれそうなものばかりだった。
肌の露出度の高い、派手な女性。はたまた幼顔の可愛いらしい女の子。
ギャルから清楚まで、全て揃っている。
それに圧倒された私は……躊躇した。
私のような容姿でも、買いたいと言ってくれる人はいるんだろうか。
約束を取りつけた所で、待ち合わせ場所にちゃんと来てくれるんだろうか……
不安が胸を過る。
ガタン、ガタン……
カーブがかかり、車内の吊革が全て同じ方向に傾く。
闇の中を走る列車。
寂しい車内。
「……」
登録して、いいのかな……
その一歩が中々踏み出せずにいた。

