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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ
ある日、見廻りをしていた職員に見つかった。
施設内でその噂はあっという間に広がり、学校にまで飛び火。
当然学校側は、施設の生徒という事もあって何の介入もせず。逆に、男女間の倫理の低下を施設側に強く指摘した。

『川口さん。……貴女が身体を使って関係を迫ったっていうのは、本当?』

聞き取り調査に来たという3人の女性職員は、私を取り囲み、最初から食ってかかった。普段から先輩と仲が良かったこの3人は、先に事情を聞いた彼の言い分を全て鵜呑みにしていたのだ。
でも、それでも──


「勇気を振り絞って、本当の事を話しました。でも……私の話を、一切聞いて貰えなくて……」

私の意思なんて、いとも簡単に掻き消されてしまう。事実と一緒に。
抗っても傷口を大きく広げるだけ。だったら、飲み込んで胸の奥深くに仕舞っておいた方がいい。
児童養護施設は私にとって、贔屓の強い看守ばかりが集まった、巨大な牢獄でしかなかった。

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