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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ
* * *


「ここ、空いてる?」

大学の食堂で、先程受けた講義のノートを纏めながら次の講義までの時間を潰していると、唐突に声を掛けられた。
顔を上げてみれば、そこにいたのは見知らぬ女性。
明るい金髪。派手なメイク。背中が大きくあいたデザインの、黒のワンピース。その際どい格好から、同じフロアにいる男子達が、チラチラと此方に視線を向けていた。

「……あ、はい」
「へぇ……綺麗な字だねぇ」
「……」

座りながらその女性が、私のノートを覗き込む。
鼻を刺激する、少しキツめの香水。
パーソナルスペースを侵されたような感じがして、何となく居心地が悪い。

「……ああ、ごめんね」

それを瞬時に察知したのか。女性は軽く謝ると、もっていた紙袋をガサガサと広げる。
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