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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ

「えっ、凛々子さん!?」
「ヨォーっす!!」
遠くから駆け寄ったのは、先輩の取り巻きリーダーである、石原由美。凛々子と呼ばれた金髪女性は、石原の姿を捉えるなり元気よく片手を上げた。
「え、えっ、どうしたんですか?」
「……んー、ちょっとねぇン」
答える凛々子から視線を外し、私を一瞬鋭く睨みつける。
その視線から逃れるように俯き、再び筆を走らせる。
「……あぁ、そうそうそう! 由美っちさぁ、この辺に美味しいクロワッサンのある店、知らない?」
「えっ、クロワッサンですかぁ?」
二人の会話から、その立ち位置が何となく見えてくる。
そう思えば、凛々子さんは安藤先輩に一番近い存在で、取り巻きリーダーも認める程の特別な人なんだろう。
例えば──恋人とか。
でも。だとしたら。
どうして、わざわざ私に助言なんて……

