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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ
「あ、もしかして、そこのクロワッサン買いに来たとか……ですか?」
「うーん、まぁ。それもあるんだけどねぇ……」

振り返った凛々子が、チラッと私を見て直ぐに石原へと顔を戻す。

「………あんまり、果穂ちゃんを虐めないでやって」

……え……
筆を走らせ始めたばかりの手が、再び止まる。
想像もしていなかった台詞に、どう気持ちを処理していいか解らない。
今日初めて会った人から、それもカーストトップの人から──何の見返りもなく庇われるなんて。

「……」

潜める息。
丸まっていく背中。
私の意思に反して、小さく縮こまろうとする身体。

……もう、逃げたい。

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