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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ

×××
『ちゃんと謝りなよ』──凛々子さんの台詞が、頭から離れない。
駅へと向かう道すがら、足を止めバックから携帯を取り出す。着歴から安藤先輩の番号を表示した後、発信ボタンを押そうとして……親指が止まる。
思い出したのは……安藤先輩と腕を組む、凛々子さんの姿。
「……」
本命の彼女が居るのに、誰にでも優しくする安藤先輩は……やっぱりオカシイ。
私には無い感覚。嫌悪感さえ抱いてしまう。
そもそも、何であんな事──瞬間、食堂でガラの悪い男達に絡まれた時のことが、鮮明に思い出される。
あの時、あの場にいる皆の前で『俺の彼女』と公言したのは……私が、余りに不憫に見えたから?
……駅で、ずぶ濡れの私を助けてくれた時もそう。
スクランブル交差点で、上手く渡れない私の手を引っ張って、怒鳴った時も──
「……」
放って置けなかった。
……ただ、それだけ。
他意なんて、最初から何も無かったのかもしれない。
宙に彷徨っていた親指が、ブラウザバックボタンを押す。
もし全部、先輩のお節介がした事なら……わざわざ謝る必要なんて、無いのかも。
そう思い直しながら画面を切り、携帯をカバンに仕舞う。
『ちゃんと謝りなよ』──凛々子さんの台詞が、頭から離れない。
駅へと向かう道すがら、足を止めバックから携帯を取り出す。着歴から安藤先輩の番号を表示した後、発信ボタンを押そうとして……親指が止まる。
思い出したのは……安藤先輩と腕を組む、凛々子さんの姿。
「……」
本命の彼女が居るのに、誰にでも優しくする安藤先輩は……やっぱりオカシイ。
私には無い感覚。嫌悪感さえ抱いてしまう。
そもそも、何であんな事──瞬間、食堂でガラの悪い男達に絡まれた時のことが、鮮明に思い出される。
あの時、あの場にいる皆の前で『俺の彼女』と公言したのは……私が、余りに不憫に見えたから?
……駅で、ずぶ濡れの私を助けてくれた時もそう。
スクランブル交差点で、上手く渡れない私の手を引っ張って、怒鳴った時も──
「……」
放って置けなかった。
……ただ、それだけ。
他意なんて、最初から何も無かったのかもしれない。
宙に彷徨っていた親指が、ブラウザバックボタンを押す。
もし全部、先輩のお節介がした事なら……わざわざ謝る必要なんて、無いのかも。
そう思い直しながら画面を切り、携帯をカバンに仕舞う。

