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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ

ドクン……
「……」
包まれる温もり。
合わせた、額と額。
見上げれば、間近で先生の視線とぶつかる。
それは、鼻先が触れる程に近くて。お互いの吐息が交差する。
「果穂……」
「……」
柔らかな声が、私の名前を呼ぶ。
先生の男らしい身体。少し速い心音。先生の身体に触れ、その熱を確かめ身を預ければ、先生が細い溜め息をつく。
「……私を、余り信用しないでくれ」
「……」
……え……
どうして……
……どうして、そんな事を言うの……?
スッと離れていく温もり。
戸惑う私の手をそっと握り、先生の身体から引き剥がされる。
絡まれた指に感じる、固い感触。その手に視線を落とせば、薬指に光る──マリッジリング。
「……!」
………そう、だった。
この関係に、恋愛要素なんてない。
最初から、割り切った関係だったんだ。

