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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ

突然突き付けられた、現実。
大きく揺れる、視界。
胸の奥が、火傷したみたいにジクジクと疼く。

「……」

この気持ちが何なのか、解らない内に勘違いしそうになってた。
外されない指輪が視界に映る度、先生の背景にいる人達に罪悪感を感じていたのに。その感情すら、次第に薄れて。……今は、ただ、羨ましい。

割り切っていた筈の境界線が、次第にぼやけていく。まるで、水性ペンで書いた線の上に、水滴を垂らされたように。
いつの間にか、私の中で先生の存在が大きく育ってしまってた。

抜け出せなくなる前に、離れなくちゃ。──そんなの、解ってる。
解ってるけど……
この芽生えてしまった淡い気持ちを、私はどうしたらいいんだろう。

離れたくない。
先生との関係を、終わりになんて……したくない。


「そんな、事………言わないで……下さい」

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