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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ
声が、震える。
──私を捨てないで。一人にしないで。ずっと、傍にいて……
そう言えてしまえば、きっと楽なのに。

「……」

言えない。
こんな事、言っちゃいけないって解ってる。
でも……心が全然追い付かない。
簡単に、割り切れないよ……先生。


「……果穂」


軽い溜め息をついた先生が、私の頭をそっと撫でる。
優しい手。あったかい……

……きっと、困らせてるよね。
先生が望む形とは、違ってきているから……

「お腹、空いてないか?」
「……え」

俯いたままの私の肩を抱き、そっと引き寄せる。
再び訪れた温もりに、強張った身体が、心が……少しずつ和らいでいく。

「一緒に、外で食事でもしよう」
「……」

耳元で囁かれる、先生の声。
吐息が掛かり、ゾクゾクと身体が震える。

嬉しい……
ただ、身体を重ねるだけの関係じゃない。そう、言われたような気がして。

「……はい」


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