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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ

「……」
もっと、違う店を想像していた。けど、遅い時間に開いている所なんて、たかが知れてる。
「飲み物は、何になさいますか?」
「……そうだな。では、生をひとつに……烏龍茶、でいいかな?」
「………はい、」
しゃがんで笑顔を振り撒く店員に注文しながら、先生が私に目配せをする。
注文を賜った店員が元気よく捌けると、先生がメニュー表を開いて私に寄越す。
「……何か、好きなものを選びなさい」
「はい……」
すっかり教師の顔に戻ってしまった先生に、淋しさを覚える。
少し前まで……劣情を含んだ目で私を見て、肌を重ねたというのに。その全てが、まるで無かったように隔てられたのを感じた。
差し出されたメニュー表に視線を落とせば、座敷の方から一気飲みコールが聞こえた。

