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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ
「私が、食事に誘ったからだよ」
それを察してか。
答えられずにいる私の代わりに、先生が口を開く。
それに納得できないとばかりに、先輩が直ぐさま突っ掛かる。
「へぇ。教師が、特定の生徒に手を出していいんですか?」
「……」
「大学構内で、噂が立ってるんですよ。
菱沼が、密かに入れ込んでる果穂に……手を出したって……」
「………君は、何か勘違いをしているようだね」
不安を隠せず、余裕げに返す先生を縋るように見つめていれば、先生は落ち着き払った様子で応対する。
「……勘違いって、何だよ」
「私が聞いていたのとは、『違う』という意味だ」
「……」
先生の返しに、安藤先輩が言葉を詰まらせる。
その様子をチラッと窺った先生は、私の前に置かれたメニュー表を片手で拾う。
「失礼ながら……君にとって川口果穂は、数いる取り巻きの一人、ではないのかな?」
「……」
「彼女達の間には、君に対し分け隔てなく平等に接し、全てを共有する……という鉄則があると聞く」
「………何が言いたい」
苛立ちを抑えようとする声。
伝票を握る手が、僅かに震えている。