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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ
「特に構内では、特定の女性に入れ込むような行動は慎んだ方がいい。例え彼女を庇う為だったとはいえ、大勢の前で恋人宣言などしてしまったら……どうなるか、解っているんだろうね」


……え……

先生は……私が置かれている状況を、解ってくれてた。
気持ちを察してくれてた。

それだけで……嬉しいって思ってしまう。


「……どういう意味、だよ」
「そのままの意味だよ」

飄々と答えながらメニュー表を捲り、自身の顎に指を掛けた先生が、美味しそうな数々の料理の写真を眺める。


──ダンッ

ガヤガヤする店内に、テーブルを叩く音が響く。
更に捲ろうとする先生の邪魔をし、先輩が強引にメニュー表を片手で閉じる。

「……話をすり替えんな!」
「いや、すり替えてるつもりはない。……何なら、私が聞いた噂とやらを、いま此処で話して聞かせようか?」

先輩の剣幕に対し、一貫して凛とした対応をする先生。
その姿に……学校や施設の職員とも違う、大人の魅力を感じてしまう。


「……」
「そろそろ、注文してもいいかな?」


再び言葉を詰まらせる先輩を見上げ、先生がそう言い放てば、バツが悪そうに先輩が手を退ける。
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