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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ

海鮮サラダに、アジアンテイストの唐揚げ、そして、店員がその場で取り分けた焼き飯とスープが並ぶ。

テーブル担当ではないのか。安藤先輩ではなく全て、席を案内した女性店員が応対してくれた。

その間先生とは会話も無く、ただ時間だけが過ぎていく。安藤先輩との関係を話したり、噂の内容や、先生とのこれからを聞いてしまったら……関係が、終わってしまいそうで。

生ビールを半分近く飲んだ先生が、唐揚げに箸を伸ばす。取り皿に海鮮サラダをよそると、先生の前にそっと置いた。


「……安藤の言っていた話だが──」

私の行動を目にした先生が、いきなり核心をつく。

「噂が広まっているというのは、本当だ」
「……」

もう一枚皿を取り、トングでサラダを掴んでいた手を止める。
私が、おじさんとラブホに入るのを見た、と食堂で絡んできたガラの悪い人達に言われた位だから……どんなに慎重に行動していたとしても、いつかは目撃されてしまうものなんだろう。
私だけならともかく、先生にまで被害が及んでしまったのかと思うと……胸の奥が、チクンと痛い。
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