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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ
「こんな事になって、すまない」
「……」
どうして……先生が謝るの?
書庫での一回で後腐れなく終わっていれば、きっとこんな事にはならなかったのに。
望んだのは、私なのに。
目を伏せ、小さく頭を横に振る。
「私は昔から、何処か合理的な所があってね。そのせいか、人としての感情が、少し欠落していたんだろう。
今まで、恋愛感情というものを持った事がなかったんだよ。……今流行りで言えば、LGBTQIA。アセクシャルってやつなのかもしれないな」
「……」
「この欠けた感情を悟られないよう、周りに合わせる事で、私は『普通』を演じていたんだ。
しかし、年を重ねれば重ねる程、その違和感やズレは大きくなっていってね。遂には、自分の心そのものを……殺さなくてはならない程までになっていた──」