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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ
丸めた背を向け、影を落とす少年。
本当は誰かに気付いて欲しいのに、知られたくない気持ちが邪魔して……平気な振りをする。
想像しただけで、胸が苦しい。
「両親の納得する職に就き、こんな私に好意を寄せる女性が現れ……周りの勧めもあり、数カ月交際してから籍を入れた。
彼女や両家の望み通り、彼女との間に子が授かると……不思議と楽に思えるようになったんだ。
人間としての……:男(オス)というものの務めをひとつ果たしたからだろう」
「……」
「このまま、何事もなく一生を終えるものだと思っていた。
──君に出会うまでは」