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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ
ドクン……
チラと見上げた先生の視線が、私の心を射抜く。
「大して強くもないのに、自ら壁を作って……
そのせいで、周りに溶け込めずに苦しんでいる果穂が、気になった。
何故もっと上手く立ち回らないのか、とね」
「……」
「何処か俯瞰していて、全てを諦めたような冷めた目をしている癖に……私の講義には、他の誰よりも熱心に耳を傾け、真剣な眼差しを向けていて。そんな君を見ている内に、近しいものを感じるようになった。
不思議と……:心(ここ)が、温かくなったんだよ」
「……」
「……こんな気持ちになったのは、うまれて初めてだ。
これが恋というものなら……何て酷い運命なんだと、呪った事もある」
「……」