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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ
「君から、過去に受けた話を聞いた時から……益々、離れ難くなった。僕の手で、君を救ってあげたい。君をこのまま手放したくない。そんな感情に支配されて、他の事が手につかなくなる程……君の事でいっぱいになってしまった」
「……」
「最初に引いた筈の一線が、曖昧なものに変わっている事に気付いた時は……焦ったよ。
……このままでは、誰も幸せになれない。
あるのは、破滅だけだ」
……先生……
「……」
どん底に突き落とされる気分って、こんな感じだったっけ。
唯一の家族写真を破られた時も。性的な嫌がらせを受けた時も。……その噂が流れ、誰にも信じて貰えなかった時も。
辛くて、深く傷付いたのに。
どうして……あの時より、苦しいんだろう。
揺れる視界。
瞬きする程に、睫毛が湿っていく。