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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ

「最初は確かに、お金の為でした。
でも、先生は、私に優しくしてくれて……心地良かったんです。
過去の話をして、受け止めてくれた時から……先生の事が頭から離れられなくなって。引いていた筈の一線が、とても曖昧なものになってました」

驚いた様に、先生が少しだけ顔を上げたのが視界の端に映る。

「それまで、罪悪感しかなかったのに。絶対外さない先生の指輪が……抱かれる度に視界に入って……」
「……」
「先生の奥さんが、羨ましかった、んです……」

声が、震える。
こんな風に、胸の内を曝け出すのは初めてで。
過去の話をした時以上に、緊張してる。

……身体が妙に熱くて……寒い……


「この気持ちを、無かった事にはしたくありません。
……例え、割り切るのが正解だとしても、私には……できません」
「──できるよ」


淡々とした、先生の返事。
驚いて視線を上げれば、先生が真っ直ぐ私を見ていた。

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