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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ
「……君は」
「え……」
「君は……俺が金払うからヤらせてって言ったら、ヤらせてくれる……?」
「……」
その瞳には、勿論厭らしい熱はない。
きっと、否定して欲しいんだと思う。
……でも、あの援交カップルがキッカケで、その道に足を踏み入れてしまった私に、そんな権利なんて……ない。
「……大事に、して欲しい。援交に限らず、自分をもっと。
そう……思っちゃうんだよ」
「……」
真っ直ぐ向けられたその瞳が、涙で潤んでいく。
そこから、目が反らせない。
「結果的に、子供は出来た。
けど、蟠りだけが残ってしまって。……それ以来、妻とは──」
「……」
「過去の事だってのは、解ってる。……でも、やっぱり許せないんだよ」
残りのビールを飲み干した後、空き缶をベンチに置く。そして何も知らない赤ん坊を見下ろし、そっと抱き締める。
憂いを帯びた笑顔を、作りながら。