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私を抱いて…離さないで
第3章 パパ

「……美麗くん」

心地良い沈黙。
ゆったりと流れるその空気を、呟きにも似た私の声が引き裂く。

「また、お店に行っても……いい?」
『……うん。果穂ちゃんが来てくれたら、嬉しい』

嬉しい……
携帯の中で反響した声が、私の鼓膜を心地良く震わせる。
甘くて。優しくて。弱り切っていた私の心を柔らかく締め付ける。

「その時は、……他にも何か、頼んでも……いい?」

今まで、祐輔くんの為に貯めてきたお金。一気に使ってしまいたい。
そして、さよならする。
多分、この先もう……身体を売って稼ぐ事はないから。

『琉偉の言ってた事なら、気にしなくていいよ』
「……」
『果穂ちゃんが来てくれるだけで、俺は嬉しいから』

いつも言ってくれる、台詞。
祐輔くんは、優しい。
私がまだ学生だからって。無理をさせないよう、いつも気を遣ってくれる。

「…………でも、それだと……居辛いよ」
『……』
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