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私を抱いて…離さないで
第1章 初恋の人


「……約束の、五万ね」
「………」

手渡しをされ、受け取ったその紙幣に……重みなんて感じない。
長時間拘束されて、汗水垂らして得たバイトのお金と、見た目は何ら変わりはないのに。
不純。──きっとこのお金も、おじさんが汗水垂らして得たお金の筈。
なのに、私の手に渡った途端、汚れて価値の下がった代物になった気がする。

「ありがとう。……最高だったよ」

単なる、援交。
ラブホテルから出てしまえば、もう二度と会うことはない赤の他人。処女専なら尚更。
それを惜しんでいるのか、決まり文句なのか。……もう、それすらよく解らない。

「……」

──ありがとう、おじさん。

決まり文句を、心の中で呟く。
でも、少しは感謝してる。私の嫌がる事は決してしなかった。
生でしていい代わりに、胸は一切触れない──そう約束した事を最後まで守ってくれた。
それに、こんな私の処女を、五万で買ってくれたんだから。

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