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私を抱いて…離さないで
第1章 初恋の人


ずっと逢いたかった。
忘れた事なんて、一度もない。
小学4年の頃──施設を出る事になった祐輔くんを皆で見送る中、私は遠くから、ただ黙って見ている事しか出来なかった。
何にも伝えられてない……たった一言。あの時のお礼さえも。


「それにほら、俺も未成年で飲めないし……!」
「……あ、」

私の反応も含め、美麗がハハ、と笑う。


キャアー!!

近くの席から、女性の悲鳴が聞こえた。その直後、ドンペリコールが始まる。
体育会系のノリというか、応援団みたいな掛け合い。手拍子。そしてまた、女性の悲鳴。
チラッとそちらを見れば、何人ものホストが客を取り囲んで、派手なパフォーマンスをしている。
何だろう……見ているこっちが恥ずかしい。

その間に、美麗がソフトドリンクを入れてくれていた。
目の前に出されたのは、前回と同じ、オレンジジュース。


……憶えてて、くれてた……?

ドクンッ……と、心臓が大きな鼓動をひとつ打つ。

──もしかして、私の事も……憶えててくれて、る……?

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