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私を抱いて…離さないで
第1章 初恋の人

私がマンモス施設に入ったのは、確か物心ついた三歳の頃──それまでは、育児ノイローゼだった母をサポートした市の職員が、こじんまりとした児童養護施設を紹介し、そこに何度か私を短期入所させていたらしい。
でも、父のリストラで家計が火の車だった事もあり、預けるだけのお金どころか、明日生きていくお金さえも無く──命の危険を感じた行政が両親と話し合い、説得し、私を引き取ったとか。
入所して最初のうちは、優しく声を掛けてくれる小学生以下のお兄ちゃんやお姉ちゃん達がいた。
だけど運の悪い事に、私はカースト上位グループと同室で──最初から、あからさまに避けられていた。
そうなれば、その取り巻き達は勿論、空気を敏感に察知したカースト下位の人達までも、私から離れ遠巻きにした。
私と似たような境遇で入所した子は、腰を落ち着ける間もなく、親元へと戻っていく。
その様子を何度も見届けるうちに、どうして避けられたのかを理解した。
……最初から、仲間意識なんてなかったって事。

