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私を抱いて…離さないで
第1章 初恋の人

「もし、解らない所があれば、遠慮なく私に声を掛けてくれ。──ああ、それから」
菱沼の口端が、綺麗に持ち上がる。
つり上がった奥二重の瞳が、何となく悪戯っ子のような色を含む。
「大山美紀子の代返は、しないようにね」
私の肩を二回、ポンポンと軽く叩く。全てお見通しだとばかりに。
「………はい」
芯の無い声でそう返せば、含みのある表情を見せた菱沼が私から視線を外し、サッと立ち去っていった。
纏めたノートを写真にとり、その画像を大山に送る。
と、その直後スマホが震えた。
画面に表示された名前は──『美麗』。
「………はい」
少しだけ震える、指先と声。
心臓が急に活発になって、口から飛び出してしまいそう。
「もしもし、果穂ちゃん? 久しぶり。元気だった?」
覇気のある、祐輔くんの声。
その声を聞いただけで、今まで荒んでいた私の心が、スッと凪になる。
「………うん」
「そっか。良かった。……あれから泣いてない?」
「はは、……泣いてないよ」
「ホントに?」
「うん……」
スマホを通して、お互いクスクスと笑い合う。
菱沼の口端が、綺麗に持ち上がる。
つり上がった奥二重の瞳が、何となく悪戯っ子のような色を含む。
「大山美紀子の代返は、しないようにね」
私の肩を二回、ポンポンと軽く叩く。全てお見通しだとばかりに。
「………はい」
芯の無い声でそう返せば、含みのある表情を見せた菱沼が私から視線を外し、サッと立ち去っていった。
纏めたノートを写真にとり、その画像を大山に送る。
と、その直後スマホが震えた。
画面に表示された名前は──『美麗』。
「………はい」
少しだけ震える、指先と声。
心臓が急に活発になって、口から飛び出してしまいそう。
「もしもし、果穂ちゃん? 久しぶり。元気だった?」
覇気のある、祐輔くんの声。
その声を聞いただけで、今まで荒んでいた私の心が、スッと凪になる。
「………うん」
「そっか。良かった。……あれから泣いてない?」
「はは、……泣いてないよ」
「ホントに?」
「うん……」
スマホを通して、お互いクスクスと笑い合う。

