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私を抱いて…離さないで
第1章 初恋の人

──会いたいな。祐輔くんに。
こんな、電話越しなんかじゃなくて。
じんと痺れて熱くなる、手。
ドキドキと、煩い心臓。

「……あ、そうだ。
急遽決まった事なんだけどね。明日から一週間、雅のホスト全員、猫耳つける事になったんだよ」
「……え、猫耳?」
「うん」
「美麗くんも、つけるの?」
「ハハ、勿論!」

祐輔くんの、猫耳。
どんな感じだろう。
想像しただけで、可愛い。
高揚が、止まらない……

「……ちょっと、見てみたいかも」
「じゃあ、来てみる……?」

耳奥を、少し鼻にかかった彼の声が心地良く響かせる。
電話越しの、祐輔くんからのお誘い。

「………うん」

照れながら答えれば、照れたように笑った声が返ってくる。

「良かった。……俺、また果穂ちゃんに会いたいって思ってたから」

──ドキ、ン……

心臓が、勝手に早鐘を打つ。
こんなの、営業トークの決まり文句だって、頭では解ってるのに……

でも……それでも、嬉しい。
祐輔くんが私の事を、少しでも気に掛けてくれたって事だから。


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