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私を抱いて…離さないで
第1章 初恋の人

「ありがと。
……でも、果穂ちゃんの方が似合うと思うよ」

頭から猫耳カチューシャを取り外し、祐輔くんが私の頭に付けてくれる。
息が掛かる程の距離に……顔が火照り、中々静まらない心臓に手を当てる。

「……ほら、うん。可愛い」

ぱっと、花が咲いたような笑顔。
そこにお世辞や計算高さなんて感じず……ほんわりと、心が温かくなる。




光陰矢のごとし、っていうけれど。
本当に、時が経つのは早い。
途中、ホスト全員がステージに立って、ちょっとしたパフォーマンス・ショーが行われて。色んな垣根を越えて、フロア全体が凄く盛り上がって……本当に楽しかった。


「……今日は来てくれて、ありがと」

エレベーター前まで見送ってくれた祐輔くんが、笑顔を見せる。

「ううん。……私の方こそ、あんまりお金落とせなくて……」
「いや、そこは全然気にしないで。来てくれた果穂ちゃんが、笑顔を見せてくれたら、それで充分だからさ」

ハハ、と笑顔を見せながら、祐輔くんがサラッと言う。
……でも、そんな筈ない。
祐輔くんは優しいから、私に気遣わせないように、そう言ってくれただけ……
もし、祐輔くんでも私でも、どちらか一方が未成年じゃなかったら……高いお酒のひとつでも頼めて、少しは貢献できたのに。

「……じゃあ、さ。
俺の誕生日に、お祝いに来て」

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