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私を抱いて…離さないで
第1章 初恋の人
パッパーッ。
遠くで響く、クラクション。
足音。音楽。道行く人々や客引きの声。
それらの雑音が入り混じる、夜のネオン街を大山と歩く。
大山は、体のラインの出る黒のワンショルダーワンピース、巻き髪ハーフアップ、しっかり濃いめのメイク……と、大人びた格好をしていた。合コンの時は決まって、白系統のふんわりと柔らかい印象のワンピースに、愛されメイクを施すというのに。
「……あ、ここだよ!」
大山が空を指す。
顔を上げその先を見れば、五階建てのビルの三階に掲げられていた、一際輝く煌びやかな看板。
『雅-Miyabi-』
白地に水色の、流れる筆記体。
ダイヤモンドのようにキラキラと輝き、どこからどう見ても……ホストクラブの看板だと解る。
「………」
合コン、じゃなかったの……?
改めて大山の服装に目をやる。そして、私。
大きめの白シャツに、デニムのマキシ丈スカート。髪は後ろに簡単に纏めただけだし、おまけにすっぴん。
「……私……」
「ねぇ、入ろ!」
大山が私の腕に絡み付く。
瞬間。ふわりと香る、フルーツのような甘い匂い。わざとなのか、彼女の胸が私の腕に当てられてくる。
……女の私にそんな事されても……
可愛いらしさの中に媚びた顔を覗かせる彼女を、軽蔑しながらも………羨ましいと感じていた。