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私を抱いて…離さないで
第2章 人と金と…


ピンポーン

チャイムの音で目が覚める。
いつの間に、眠ってしまったんだろう……
折り返し電話して、ちゃんと断ろうと思っていたのに。

頭を押さえながら立ち上がり、ふらつきなら玄関へと向かう。


「……果穂ちゃん」

開けたドアの向こうにいた、安藤先輩。
走って来たのか。息が少し荒い。

「……せんぱ……」
「熱は──?」
「……え……」
「ごめん。……やっぱり昨日、部屋まで送れば良かったな」
「……」

普段余裕のある先輩が、何時になく狼狽えている。
別に、先輩が責任感じる事なんかないのに……

「……これ」

後頭部に手をやった先輩が、持っていたコンビニ袋を差し出す。

「何がいいか解らなくて。
……とりあえず俺が風邪引いた時に欲しいもの、適当に買ってきたから」
「……え」

受け取った袋を広げて見れば、あればいいなと思うものばかり。
レトルトのお粥、ポカリ、冷えピタ、風邪用の栄養価ドリンク剤──

……どう、して。
どうしてここまで……

ゾクッ、と体が震える。

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