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私を抱いて…離さないで
第1章 初恋の人
別世界──
全てが眩しすぎて、目が開けられない……
顔を上げられない……
合コンの時より、居心地が悪い……
「……」
L字型の革張りソファの中央に座る大山は、斜向かいの席に、代わる代わるやってくるホスト達と会話が盛り上がっていた。
私はと言えば、話し掛けられるものの上手く返せず。結局、大山が会話を全て拾い上げて返す始末だった。
大山さんも私も、まだ19歳。
アルコール類の提供は法律で禁止されている為、ソフトドリンクがそれぞれの前に置かれている。
緊張のせいかやたらと喉が渇き、10分も経たないうちにグラスが空になってしまった。
テーブルに戻すと、それがスッと静かに目の前から捌けられる。
テーブルの端に置かれていたジュースが注がれ、また目の前に静かに出された。
「……話すの、苦手?」
「え……」
ドリンクを用意してくれたホストが、話し掛けてくる。彼はソファの端にある丸椅子を引き寄せて座り、私の顔をじっと見てきた。
短髪の黒髪。耳にはリングピアス。
綺麗な形をした目。色素の薄い瞳。くっきりとした二重瞼。幼さが残る小さな顔。
──ドクンッ
その顔には……初恋の人の面影があった。