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私を抱いて…離さないで
第2章 人と金と…
もし、私を見切るつもりなら、もう営業の電話なんて掛けてこない筈。
でも、もしキャバやソープに沈めるつもりなら……
″会いに来てくれただけで、充分嬉しいからさ!″──ふと蘇る、美麗の言葉。
そんな、優しい気遣いをする祐輔くんが、……そんな事…… 

「……」

耳から、スマホを離す。
施設にいた時──何の見返りもなく、祐輔くんは私を助けてくれた。
だから、今の祐輔くんがどっちであっても、私は祐輔くんを助けたい。
……逢いたい。

部屋にある現金──棚にある貯金箱の小銭、生活費や積立金等のお札を掻き集める。
全部で、10万。
今の私には、これしかない。
テーブルの上に折り畳みの鏡を置き、シュシュで髪を後ろに束ねる。
チープな服。チープな口紅。
それでも、私にできるだけのお洒落をする。
ありったけのお金を握り締め、アパートを飛び出した。


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