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私を抱いて…離さないで
第2章 人と金と…


煌びやかな店内。眩い照明。
アップテンポの激しいミュージック。ステージショー。
シャンパンタワー。ドンペリコール。
沢山の人、人、人──

「……」

通された席はステージから遠く、既に盛り上がった空気に中々馴染めない。疎外感に陥りながら一人、オレンジジュースを飲む。
飲酒可能年齢に達した事もあり、別の卓では美麗へのお祝いのボトルが注文される。そういうのもあってなのか。美麗が私の席についたのは入店して暫く経ってから。やっと隣に座ったと思っても、ものの数分でまた移動。
それからずっと、戻って来ない。

………もう、帰ろうかな。
ヘルプを付けていない事もあり、静まり返った小さな空間に、虚しさだけが募る。
美麗くんにとって私は、数ある客の中の一人。そんなのは解ってる。……解ってるけど……
バックを持って席を離れると、すれ違った黒服から「トイレは彼方で御座います」と笑顔で告げられた。

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