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BL短篇集
第2章 Coffee break2
“それ以上”という単語にドキリとする。

「だけど、あの日、僕は誘惑に負けてしまった。沖先生に触れて歯止めが効かなくなってしまった。」

「斉藤先生…」

「だから、もうバレてもいいと思ったんです。沖先生に捕まるならいいと思って。・・・ずっと、嫌な思いさせてしまって、すいませんでした。」

吹っ切ったような表情で言うと、斉藤先生はペコリと頭を下げた。

「…嫌じゃ、ないです」

「え?」

俺の言葉に斉藤先生が頭を上げる。

「ほんとはずっと斉藤先生だったら良いと思ってました。痴漢されながら、斉藤先生のことばっかり考えてました。…だから、俺は、…斉藤先生で嬉しい…」

最後の方は消え入りそうだった。こんなこと、死んでも口にしたくないくらい恥ずかしかった。

「沖先生…」

斉藤先生の手が俺の熱い頬に触れる。
目と目が合った。

「いいんですか?好きでいても」

斉藤先生が確認するように言った。

「ダメです」

「え…」

驚いた様子で目を見開い斉藤先生に

「ケツだけじゃダメです!全部、俺の全部を好きになってくれなきゃダメです!」

まるで子供のワガママみたいだと思った。

「沖先生」

半泣きの俺に斉藤先生は、花が咲くような笑顔で言った。

「もう、全部、大好きです」

そう言って、斉藤先生の顔が近付いて、俺の唇に斉藤先生の唇が触れた。


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