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BL短篇集
第2章 Coffee break2
「痴漢、ですか!?」
驚いた様子の斉藤先生に「はい」と俯いたまま、頷く。
そりゃあ驚くよな。どっからどう見ても男の俺が痴漢されてるなんて。
先程とは違う、羞恥で頬が熱くなる。
「で、いつから、ですか?」
斉藤先生は心配したような口調で言う。
「あ…、その…、たぶん、1年くらい前から…」
チラリと顔を上げ、斉藤先生の様子を伺う。
「そんな前から…!?…あ、もしかして、好き、なんですか?」
驚いた表情から、困惑した表情に変わる。
「ちっ、違うんです!!まっ、前はよくわからなくって」
満員電車の中で、男の尻に手が当たっていても、それが痴漢だとはなかなか思いづらい。確証に至れないここまでできてしまったのだ。
でも、最近は・・・
「沖先生?」
斉藤先生の声にハッとする。
「捕まえようとは思わないんですか?」
斉藤先生は正論を口にした。
そりゃあそうだ。
痴漢は犯罪だから捕まえて然るべきだ。
しかし―――――…
その手を掴んで、車内で「この人痴漢です!!」という勇敢な女性と周りの乗客が取り押さえる図が頭に浮かぶ。
「や、でも恥ずかしいじゃないですか。男が痴漢されてたなんて周りに知れたら」
出来れば、周囲には知られたくない。そんな気持ちがここまでズルズル来てしまった原因だった。
それに、尻を撫で回されるくらいならまだ我慢出来たのだ。
「…軽蔑、しますか…?」
恥ずかしいなんて理由で痴漢を野放しにしているなんて、教師の風上にも置けないだろう。
斉藤先生に軽蔑されたら、…嫌われたら、そう思うだけで苦しくて泣きたくなる。
だから、俺は泣かないように唇を噛んで下を向いた。
「軽蔑なんてしませんよ。沖先生、被害者じゃないですか。軽蔑すべきはその痴漢ですよ」
「そ、そうですよね!」
ほっとして顔を上げる。
「でも、それなら…」
斉藤先生は俺の目を、またじっと見詰めて言った。
驚いた様子の斉藤先生に「はい」と俯いたまま、頷く。
そりゃあ驚くよな。どっからどう見ても男の俺が痴漢されてるなんて。
先程とは違う、羞恥で頬が熱くなる。
「で、いつから、ですか?」
斉藤先生は心配したような口調で言う。
「あ…、その…、たぶん、1年くらい前から…」
チラリと顔を上げ、斉藤先生の様子を伺う。
「そんな前から…!?…あ、もしかして、好き、なんですか?」
驚いた表情から、困惑した表情に変わる。
「ちっ、違うんです!!まっ、前はよくわからなくって」
満員電車の中で、男の尻に手が当たっていても、それが痴漢だとはなかなか思いづらい。確証に至れないここまでできてしまったのだ。
でも、最近は・・・
「沖先生?」
斉藤先生の声にハッとする。
「捕まえようとは思わないんですか?」
斉藤先生は正論を口にした。
そりゃあそうだ。
痴漢は犯罪だから捕まえて然るべきだ。
しかし―――――…
その手を掴んで、車内で「この人痴漢です!!」という勇敢な女性と周りの乗客が取り押さえる図が頭に浮かぶ。
「や、でも恥ずかしいじゃないですか。男が痴漢されてたなんて周りに知れたら」
出来れば、周囲には知られたくない。そんな気持ちがここまでズルズル来てしまった原因だった。
それに、尻を撫で回されるくらいならまだ我慢出来たのだ。
「…軽蔑、しますか…?」
恥ずかしいなんて理由で痴漢を野放しにしているなんて、教師の風上にも置けないだろう。
斉藤先生に軽蔑されたら、…嫌われたら、そう思うだけで苦しくて泣きたくなる。
だから、俺は泣かないように唇を噛んで下を向いた。
「軽蔑なんてしませんよ。沖先生、被害者じゃないですか。軽蔑すべきはその痴漢ですよ」
「そ、そうですよね!」
ほっとして顔を上げる。
「でも、それなら…」
斉藤先生は俺の目を、またじっと見詰めて言った。