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彼の世界は官能で出来ている。
第9章 好きとか嫌いとか
その後――――…順調にデートを続けたが、私の中に沈んだ重い何かは軽くなることはなかった。
「さてと、ランチも食べたし――――…次、どこに行く?」
「ん――――…そうだねぇ…」
少し背伸びをしたイタリアンのお店から出た私たちは時計をみた。
ランチタイムをちょうど過ぎた時間帯…笑顔で通りすぎる恋人達や友達同士の流れをぼんやり眺めてしまう。
――――瑛斗は…仕事に行っただろうか…
「上原?――――…」
「ん――――…あ、なに?何処か行きたいところある?」
嘉良くんは私の瞳を覗き混むと…癒しの笑顔を向けた。
「本当に――――…敵わないなぁ…」
「え?」
そう言うと嘉良くんは私と手を繋ぎ、歩き出した。